Appをリリースしてみて感じたこと(2) - ターゲットの設定

Appは小さく始めて、とりあえずリリースしてから機能拡張する方向の方が良い、というのが持論です。特に、新しく開発を始めた個人開発者の場合、あれもこれもと機能を欲張っているうちに、ゴールが見えなくなって、途中で投げ出してしまいやすくなるような気がします。

同じようなことは中国語学習にも言えるような気がします。正確な統計は分かりませんが、大学の第2外国語で中国語を選択する人の割合は半数近い、いや過半数だというような話を聞いたことがあります。大学進学率は、この資料によると、1989年で24.7%、2012年で50.8%なので、平均を取ってかけ算するという乱暴な方法で算出すると、日本人の約20%は、何らかの形で中国語学習歴があるということになります。しかし、日本人で実際に中国語を「使える」人の割合はそんなに高くありません。10%?いや5%いるかどうかも怪しいでしょう。

何を隠そう私自身も、大学1年時に中国語を履修したものの、その後ドロップアウトしてしまいました。30過ぎてたまたま仕事で中国と関わるようになって再学習して、とりあえず生活する分には全く困らない程度にはなりました。(大学1年生の時に発音をみっちりやったおかげで、再学習の時に発音は大幅にショートカットできました。当時の先生に感謝ですね。)

初心者向け教材が多い理由

学習というのは、初心者レベルに多くの人がいても、レベルが上がるにつれて脱落していく人が増えるので、横軸に学習人口、縦軸にレベルを取るとピラミッドみたいな構造が出来上がります。つまり上に行くほど人口という意味では先細ります。例えば書店の外国語学習コーナーを見てみると、少なくとも英語以外の外国語については、初心者向け教材が圧倒的多数を占めています。理由は簡単で、初心者層が一番厚いから。初心者の場合、その人が学習を継続する可能性自体があまり高くないのですが、書籍のように売りきりであれば、売る側も「ドロップアウトしようが知ったこっちゃない」訳です。ただ飽きやすい初心者には、あの手この手で目新しさを見せて惹きつけないといけないので、結果的に雨後の竹の子のように初心者向け教材が溢れ出すという仕組みだと自分では理解しています。

とは言え、長期間売れ続けているこういうベストセラー本もありますよね。

Why?にこたえるはじめての中国語の文法書

Why?にこたえるはじめての中国語の文法書


実は、この本はとてもズルいんです。「はじめての」と謳っておきながら、完全に中級以上までカバーしている。なので飽きずに学習を続けられる一部の人にとっては、完全に「バイブル」になってしまうわけです。はい、私の本棚にもしっかりこの本は残り続けています。

・・・完全に話が逸れましたね。

でも、中国語学習に限らずiOSにおけるObjective-Cの学習も同じようなパターン、つまり初心者はいっぱいいるけど、レベルが上がるにつれて脱落していくという構造は同じだと思います。

ターゲット設定の話

話を私のAppの話に戻しましょう。中国語学習に関連したアプリを作ることは早々に決めていました。ただ、自分が使っていてもそこそこ役立つものでないと意味がありません。似たような中国語学習のAppを見ていると、やはり発音の基礎を丁寧に教えようとするものが多そうです。なので、逆に初心者を切って、初心者以上中級程度にターゲットを絞ってみたらどうなるかと考えました。

先のピラミッドの話からすると、レベルが上がるにつれて受け皿は下がるので不利になります。となれば、ターゲットをさらに日本国内へと絞るのは得策ではありません。従って、Appは基本的に英語で作り、層の薄さをカバーするためにターゲットを日本の外に広げようと考えました。(App Storeの紹介文は次のリリースから日本語でも表示されるようになる予定です。)

今のところ、世界20カ国以上の方からダウンロードされているので、英語を使ったのは正解だったのかなと思い始めています。ただ、App Storeに並んでまだ3日目なので、今後上の考え方が功を奏するのか、大コケするのかは、これから自分の目で見届けないと行けませんね。。。