上昇志向皆無のオジさんがベンチャーに転職する話 その5 カミングアウト

キャリア的上昇志向のないオジさんが、何故かこの年齢で外資ベンチャー企業に転職することになった顛末を書くシリーズの第5弾。具体的な条件が出ないまま、とりあえず置かれている状況を共有したという話。

<目次>

カミングアウトの時

以前触れたように、社内で二足のわらじを履いていた自分。片方のこれから売り飛ばされていく方のわらじは、皆境遇が一緒なんだけど、もう片方のわらじの方は、自分の置かれている立場について知っている関係者はいない。前回ひどく落ち込んでいた時に、これは関係者に事情を伝えるべきだと思ったものの、実際にはもう数週間おいて気持ち的に落ち着いてきたころを見計らって、とあるリモート会議の最後の時間にカミングアウトすることにした。

自分「ところで、こんな話があるってニュース知ってます?」
みんな「・・・初めて聞いた。」
自分「てな訳で会社辞めるかもしれません」
みんな「・・・ふ〜ん。そうなんだ」

ま、こんなもんなんだよね。会社で毎日合わせているならともかく、週に数回リモートで一緒に仕事するぐらいの関係だと、無関心というか自分には関係ないよな、というような空気感をリモートながらひしひしと感じた。

人って他人には無関心

カミングアウトした後、結局自分は彼らにどんなリアクションをして欲しかったんだろうか?と少し考え込んでしまった。例えば、引き留めるような発言を期待していたといえば違う気もする。彼らに「行かないで!」と言われたところで、決断が変わるほどの影響力があったとは思えない。強いて言うなら、自分がどのぐらい必要とされていたのかというのを確認してみたかったのかもしれない。いなくなると困るねとか、そんな言葉をかけられて、自己満足に浸りたかっただけなのかも。

ただ、これを読んでいる人の中に「もし自分が抜けたら、会社や部署が立ち行かなくなる」というのを理由に自分の進路変更をためらっている人がいるのであれば、それは多分最初に考えから除外すべきじゃないかと思う。まず進路変更を考えるということは、現状に不満だったり、閉塞感のようなものがあって将来が見渡せないという何かしらのネガティブ要素があるはず。

そんなときに、「いなくなったら困る」みたいなことを言う人がいるということは、属人的すぎて組織としては機能できていないとか、あるいは言葉は悪いが良いように使われているだけという場合だってある。さらに悲しいのは、会社や部門が立ちゆかなくなると思っているのは自分だけだったというケース。上司なりにかけ合ってみると、意外なソリューションが出てくることもある。

自分の代わりは、意外にいるもんですよ。

この時点での転職確率は?

自分の基本的な考え方では「迷ったらGo」ではあるが、この時点では全く五分五分だった。前の記事の段階では、逃げる事ばかり考えていたものの、それが自分の中で折り合いは付けた。しかし、如何せん新しい会社での仕事内容だったり待遇が分からない。だから判断のしようがない。新しい会社があまりに残念な感じであれば、止まらざるを得ないのだから。まだどちらにも倒せない。

新会社からの条件提示が出るのはさらに数週間先なのだが、その話はまた次回に。

(つづく)

上昇志向皆無のオジさんがベンチャーに転職する話 その4 逃げたい

キャリア的上昇志向のないオジさんが、何故かこの年齢で外資ベンチャー企業に転職することになった顛末を書くシリーズの第4弾。悩みは日に日に深くなる一方で精神的に追い詰められていく話。

<目次>

二足のわらじ=足かせ

件の "Exciting news" があってから、かれこれ2ヶ月。そろそろ待遇に関する情報が貰えるという時期だったが、相変わらず具体的な情報が降ってこないまま、Go(転職) / Non-go(残留) の決断を下すことが出来ない日々が続いていた。

この時点で自分がやっていた仕事は主に2種類。これから事業譲渡されていく今の専門領域の仕事と、これまでの専門性を活かした他領域の仕事である。この「他領域の仕事」というのは7年ほど前からコツコツ積み上げてきた領域で、少なくとも社内では専門家の地位を確立したと言って良いんだけど、あまり将来的な需要がないかなということで、5年ほど続けた今から2年前に今の専門領域に移る、つまり人事異動することを決めたのだ。

ところが、消えゆくはずの需要が、何故か途絶えることなく細々と発生し続け、気がつけば2年ほど2つの領域を兼業する状態が続くことに。この記事の時点でも二つの領域をちょうど半分ずつこなすという時間配分になっていた。

偉い人に聞いてみた

そんな中、自分の所属部門メンバーが全員参加して、自社の偉い人に話を聞く場が設けられることになった。自分以外に二足のわらじを履いている人はいなかったのだが、思い切って自分の状況を話して、兼業農家はどうすれば良いの?と聞いてみた。

ざっくり言うと、新しい会社に参加して欲しいというメッセージを受け取ったのだが、かといって兼業先の方も大事だから諸々調整して協力体制がどうとかこうとかという何とも煮え切らない答えが返ってきた。

正直、兼業のことを気にしないで、新しい会社で実力を発揮して欲しいぐらいのことを建前でも言ってくれればと、密かに期待していたんだけど。。。

逃げたい

こんな中、予想外のところから、自分自身に変調を来す事態が発生する。自分の中では副業的にやっていた「他領域の仕事」の方で、変にプレッシャーがかかるようになったのだ。別に仕事でミスをしたとか、何か責められるようなことがあったわけでもない。時節柄完全リモートでやってきた仕事の中で、打っても響かない、自分の出したバリューが評価されていない、端的に言うと存在が無視されているような感覚に陥ったのだ。

そんな状態が続くうちに、この「他領域の仕事」に関するメールを見ただけで動悸がしたり、リモート会議に参加するとなると前の晩から眠れなくなり、参加時には「穏便に終わってくれ」と脂汗をかきながらやり過ごそうとするようなってしまった。自分もこの業界長いのだが、このように追い詰められた感覚になったことは過去に一度もない。

これまで、一緒に仕事をやっていてメンタルをやられた人を幾人と見てきたが、メンタルがやられるときって、こんな感じなのかなと思い始めたり、会社から定期的に届く「産業医との相談会のご案内」のメールを見て、相談をしようかなと本気で考えるようになった。不思議と、もうひとつのというか、本職である今の専門領域の仕事では、そのようなプレッシャーを感じることがなく、いつの間にか「○月まで我慢すれば脱出できる」と考えるようになってしまった。

念のため、言っておくが、このメンタルがやられかかった経験が、最終的な決断の理由にはなっていない。今冷静になって思い返すと、いわゆるリモートによる孤独感の問題だと思っている。つまり孤立無援だと思い込んで、自分で自分を追い込んでいたのではないかと。このプレッシャーについては、最終的には乗り越えることが出来、最後には自信を取り戻すことが出来たのだが、この1ヶ月ほどの期間の事を思い返してブログを書いているだけでも、当時のことを思い出してストレスを感じてしまう。

在宅勤務中であっても仕事のことを表に出さないのに、妻が自分の様子を見て心配するほどになってしまったのだが、ふと孤立無援の中、この置かれている状況を関係者に伝えていないのが問題なのではとも思うようになった。ついにカミングアウトする時期が来たのだ。その話は、また改めて。

(つづく)

上昇志向皆無のオジさんがベンチャーに転職する話 その3 ダサッ!

キャリア的上昇志向のないオジさんが、何故かこの年齢で外資ベンチャー企業に転職することになった顛末を書くシリーズの第3弾。その他のオプションを手に入れたことで精神的に安定したはずだったんだけど、、、という話からスタート。

<目次>

待てど暮らせど情報が来ない

ニュースが流れてから早1ヶ月。残留オプションの形がはっきりと見えてきたところで、新会社の情報が入ってこない。待遇は今より良くなるとか、投資額は桁外れに大きいという話は聞くものの、それ以上の詳細が全く聞こえてこない。定期的に情報をアップデートすると言っていたのに。。。

そんな中、久しぶりにインフォセッションが開かれる事になったという会議依頼が届く。さらに参加者からの質問も受け付けると。これで、ようやく新会社の全貌が見えてくるのかと思い、少し安心したのを覚えている。待っている間にも当事者間では噂が噂を呼び、一方で部外者にとっては無関心という期間が続いた。

自分の中では、この話の存在を部外者(前所属部門での仕事の関係者)にどのタイミングで伝えれば良いのかという悩みは抱えたままだった。

期待の新情報とは?

ついにインフォセッションの日がやってきた。「ついに」と書くと期待に溢れていたように見えるかもしれないが、確かな情報が届かない状況下で「やっとこの日が来たか」という感覚の方が強かった。序盤の頃だったか、新会社の首脳陣の名前が発表された。出てきた首脳陣の名前は、大体想像通りで「あ、やっぱりね」以外の感想は無かった。

続いての発表は、新しい会社の名前だった。その名前を聞いた感想は、、、

ダサッ!

名前に込められた思いをドヤ顔で語られれば、語られるほど、この名前を背負って行くのは微妙だなと思った。余り書くとバレてしまうが、日本で評判が良いとは言えない某社の名前に似ているのが何よりも引っかかった。(※ちなみに、コレを書いている今の時点では、自分の中でもう少し消化できてきており、悪くない名前かなと思っていることは付け加えておきたい)

その後は、詳細はこれから決まるだとか、抽象的な話に終始することになり、約1時間半のセッションを終えての感想としては、

・・・ん?つまり、今日の発表は、会社名と新首脳陣の名前だけ?

新しい会社での仕事のやり方はこうなる的な話は聞けずに、正直がっかりした。

理念より知りたいのは待遇。。。

その後も新しい会社の理念だとか、コレまで聞いた話の焼きなおしに終始することになる。今思い返せば走りながら新しい会社の立ち上げをしているがために、具体的に発表できる内容が限られていたんだろうと想像はつくものの、なんとも言えないストレスがたまる瞬間だった。これ以外にも、今いる会社から転職、つまり退職したときの扱いについての説明会みたいなものもあったが、将来の待遇も分からず、単純に出て行けと言われているような多少ネガティブな気持ちになったのは事実で、さっさと残留決めてやろうかと思ったり、一方で退職金の計算をして、今のこの金額貰えるのも悪くないなぁと思ったり、とにかく振れ幅というか、気持ちの浮き沈みが激しい日々をしばらく送ることになる。

まさか、自分にはオプションがあるということが逆に自分を悩ませることになるとは、、、

(つづく)

USB-Cドックを導入してみた - その後に分かった制約

前の記事で、USB-Cドックを導入してみたということで、その後検証して分かった事があるのでアップデート。

<目次>

Good News

下の図は、この補足・訂正記事を書いている時点での接続イメージ図。

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まずは良いニュースから。下側にMagic KeyboardとMagic Trackpad が追加されている。これら二つは、もともとMac mini専用として使ったいたものだ。複数マシン間で切り替えて使うことは出来ないと理解していたのだが、ちょっとしたハックがあることを発見。

qiita.com

この記事にあるとおり、Lightningケーブルで有線接続すると、自動的にBluetoothの接続も確立してくれるというのだ。つまり、自分の使い方だとUSB-Cドックに有線接続しておけば、自動的に使用しているマシンで認識してくれるので、Magic keyboardとMagic trackpadの使い回しが出来るということになる。これは嬉しい誤算。

ちなみに、赤い線が片方点線になっているのは、手持ちのケーブルが足りないから。Bluetoothの接続が確立するまで数秒待てば良いので、多少手間となるがケーブル一本でもそれぞれ数秒ずつ接続しておけば問題ない。

Bad News

もう1つは、悪いニュース。散々注意書きにも書いてあるのだが、M1 Macで使うのには制約がある事が判明。自分が検証した限りだと、モニターに接続しても何も映らない。一部、ミラーモードにすれば出来るという記事も見かけたのだが、自分の場合はダメだった。ただし、上の図で×印では無く△印なのは、モニタ投影以外についてはUSB-Cハブとして機能してくれる。上に書いたキーボードやトラックパッド、Webカムの認識などは問題なく行ってくれる。モニタだけダメ。

結局、回避策として編み出したのはこんな感じ。

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USB-C to Display Portケーブルを追加

追加投資なし、つまり家にあるケーブル類で何とかする事を最優先として、M1 Macbook Proと接続する時には、別途 USB-C to Display Portのケーブルを直接繋いでみた。ちなみに①②と入っているのは、Display Portを先に繋ぐ必要があるから。この順番で繋いだ場合に限り、モニターに画像が出力された。もちろん、USB-Cドックとしてのモニタ出力以外の機能は果たしてくれる。

繰り返しになるが、全てはM1非対応という商品説明を過小評価していた自分の落ち度であり、AnkerやAmazonには何の責任もないということは付け加えておく。

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とは言え、もはやケーブルスッキリというUSB-Cドックの本来のメリットが消えかかっているのはここだけの話。

USB-Cドックを導入してみた

タイトルの通りで、USB-Cドックを導入してみたという話。良いところ微妙なところ。いずれにしてもちょっと高いよね。

<目次>

あふれかえるガジェットたち

終わりの見えない在宅勤務、どこにも遊びに行けないストレスが、ガジェットを買い漁るという悪循環に陥っているのは、コレまでの記事をご覧頂くと分かるとおり。

deutschina.hatenablog.com

・・・たぶん、旅行行っても買い漁ってるけど

これまた以前の記事で書いたとおり、我が家には1台USB-Cハブを内蔵したモニタがある。

deutschina.hatenablog.com

このモニタは現在居間に置かれており、日中時間帯の仕事に使っている。会社のMacbook Pro 19"に繋ぎつつ、USB-A端子を使って仕事用のヘッドセットの充電などに使っており、配線は最小限に保たれており良い感じだ。

一方、書斎にはお下がりのHPの24インチモニタが置いてあり、これはプライベートのMac miniHDMIで接続されていている。仕事を居間で行うようになってからは、完全にプライベート目的、あとはオンライン英会話などに使っていた。ところが、先日からM1 Macbook Pro 13"がラインナップに加わり、状況が変わってきたのだ。

Webカムを共有したい

簡単に言うと、M1 Macbook Proをモニタにつなげたいというケースが出てきた事、あとは仕事で高解像度のWebカムを使ったビデオ会議をする必要が出た来たのだ。居間のセットアップにWebカムを新たに購入して追加することも考えたのだが、家族が後ろを通ったりするので、ビデオ会議自体は基本的に書斎でやるようにしたかった。

となると、Mac mini、M1 Macbook Pro、会社のMBP 13"と臨機応変に接続するマシンを切り替え、接続したマシンからWebカムを使えるようにしたい、ということになる。そこで選択肢として浮上してきたのがUSB-Cドックと呼ばれるものである。新旧取りそろえて、いろいろなものが出ていたのだが、旧式は熱を持ちやすいなどネガティブな書き込みを見たので、結果的に最近出た最新のものにしてみた。

使ってみて

実際にブツが届いて、とりあえずこんな感じで繋いでみた。ざっくり表現するとこんな感じ。

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誰得?の配線図

左側のWebカムとモニターは、元々Mac miniに接続していたのだが、これをUSB-Cドックに接続。USB-Cドックには、普段はMac miniを接続しているが、必要に応じてM1 Macbook ProやMBP 2019 13"に差し替えることで、ドックに接続したモニターやWebカムがそのまま使えるという仕組み。

つい先日も、変な時間に仕事のビデオ会議と英会話レッスン、さらに再びビデオ会議が連続するという状況が発生したのだが、ドックに接続するMacを差し替えるだけでタイムラグなしに切り替える事が出来て非常にスムーズだった。

ただ、難点を挙げるとすれば、Mac miniの裏側に挿してあるUSB-Cを引き抜いて、使用後再びノールック(端子が裏側なので)で挿し直すというのが結構面倒だったりする。そこで、Thundervolt4対応のUSB-Cケーブルを買い足したのだが、この記事を書いている時点で0.7m で3,980円と結構お高い。

USB-Cドック自体の値段も結構高いので、自分のように変態的な使い方をしない限りは、もう少し待ってみて安価なドックの登場を待つのも悪くないかもしれない。

と、ここまで書いて新たに分かったことと制約があることが分かったので、次の記事に書くことにする。