上昇志向皆無のオジさんがベンチャーに転職する話 その1 寝耳に水

キャリア的上昇志向のないオジさんが、何故かこの年齢で外資ベンチャー企業に転職することになった顛末を書くシリーズの第1弾。

<目次>

Exciting news はグッドニュースとは限らない

話は遡って、かれこれ5ヶ月ほど前。きっかけは何ていう事のない一通の会議依頼からだった。欧州本社から英語で書かれた会議依頼のメールには、

We have very exciting news!

と書かれている。外資系で働いたことがある人なら分かるかもしれないが、この手のアナウンスメントのメールは、大げさな割に大した内容でないことがほとんどだ。このときの自分も「どうせ組織改編か、どこかのリージョン(地域)のボスが交代するとか何かだろう」と高をくくっていた。いつもなら、こんな定時外の夕食どきの時間帯に設定されるアナウンス系の英語の会議はスルーでも良いかなと思うのだが、このときは何故か、たまには出ておくかという変な気持ちになったのを覚えている。

早めに夕食を済ませ、日本時間で午後7時頃に設定されたリモート会議に参加する。そこでアナウンスされた内容はというと、、、

君たちの所属部門は、外部の投資会社と設立するジョイントベンチャーに移管することになったよ。ちなみに、新しい会社に行くか、今の会社に残るかは自分で決めていいけどね。
(※会社バレしないように超意訳)

想像の斜め上を行くとはこのことだ。リアル生活で初めて「ちょっと何言っているか分からない」と言いたくなった瞬間だった。

みんな困惑

アナウンスのあった翌日、日本に限らず同じ部門に所属する海外メンバーも大きく混乱しており、内輪のリモート会議でもその話で持ちきり。噂で聞くところによると、この話は2年ほど前からあったのだが、本当にトップマネージメントか知らない情報だったらしい。昨晩の "Exciting news" を聞くと、結構な金額の出資を受けられるということや、待遇も改善するし君たちにとって前途は明るいぜ!と殊更良い面ばかりが強調される。こういうときは話半分に聞いておかねばなるまい。ただ、ひとつ言えるのは、今の仕事を続けるためには新会社に移るしかなく、会社を変わりたくないなら社内で他の仕事を探す必要があるということだ。

いずれにしても情報が足りなさすぎる。トップマネージメントは定期的に情報をアップデートすることを約束していたが、日本人的感覚で行くと、いくら外資系とは言え見切り発車感が半端ない。このときから、まさに5ヶ月にも及ぶ混乱と葛藤が始まるのだが、話は長くなりそうなのでまた次回に。

(つづく)