上昇志向のないオジさんがベンチャーに転職する話 その7 決断

キャリア的上昇志向のないオジさんが、何故かこの年齢で外資ベンチャー企業に転職することになった顛末を書くシリーズの第7弾。ついに決断を迎えるという話。

<目次>

期限は2週間

オファーレターが添付されたメールの中には、15日後の日付が示されており、その日付までに承諾せよと書いてある。レターには記載がないが、オファーを受諾しない場合は、現在の会社に残留していわゆる社内転職活動をしなさいという事を意味することは明らかだ。オファーレターによって、自分の年俸がいくらになるかという点はハッキリした一方で、細かい諸条件が曖昧なままだった。

質問がある場合はメールで問い合わせてねと書いてあったので、無邪気に質問事項を書いて送ってみたのだが、オファーレターは世界各地でほぼ同時に数百人単位で送られているわけで、先方の対応は完全に後手後手に回っていた。とは言え、こちらが聞きたい内容の確認が取れないまま受諾のサインは出来ないので、待つしか無かった。

外部の意見は分かれる

オファーレター受託のタイミングに前後して、何人かの気心が知れた元同僚と会話をする機会に恵まれた。入社以来の長い付き合いがある同僚からは、自分の判断を尊重するという前置きの後に、今の会社にいることのメリットを強調された。この言葉は重い。何故って、自分がこの会社で働き続けきた理由をそのまま代弁してくれているからだ。

一方、別の元同僚からは少し違う意見も出てきた。条件が良くなるなら一旦外に出るのが良いのではないかと。他の人を見ている限り、他社でスキルを付けてこの会社に戻ってくる人も多い。うちの会社は出戻りに寛容なんだから、違う世界を見るのも悪くないと。この言葉も自分に刺さった。自分の本音を言い当てられたように感じたのだ。

家族の反応

うちの妻にも相談してみた。

妻「給料の良い方を選びなさい」

相談する相手を間違えたようだ(笑)というのは冗談だが、どんな決断をしてもサポートするから好きなようにしなさいというメッセージだと受け取った。

両親に相談するかは少しだけ迷ったが、公務員ひとすじだった父から出る言葉はなんとなく想像できたのと、余計な心配をかけさせたくないので、決断してから知らせることにした。

やらずに後悔するよりやって後悔した方が良い

回答期限日が近づいてきた。オファーレターに関する質問も、何とか期限日前にもらうことが出来た。貴重なアドバイスももらった。あとは自分で決断するだけだ。と格好付けたことを書いているが、自分の中ではだいぶ前から結論が出ていたような気がする。

今の会社に残って、何となく仕事を続けることもできるが、これでは変化というか成長もない。新しい会社に行って、無から何かを作り出すことが出来れば、その経験が今後に生かせるのではないかと考えるようになっていた。

過去の記事でメンタルをやられかかった事を知っている方からすると、現実逃避なのでは?というツッコミも聞こえて来そうだが、何かしら環境を変えたいという意味では現実逃避なのかもしれないので、それは否定しない。

「自分の心の中では結論が出ていたのに、あと背中にもう一押し欲しかっただけなんだな」と、過去数ヶ月の感情を整理できたとある金曜の夕方、心は決まった(というか整った)のを感じ、オファーの承諾のサインを行った。オンラインでサインを行った数秒後、新しい会社からのWelcomeメールが届いた。

この自動送信のメールを受け取って、一瞬だけ何かやらかしたかもという気になったが、もう後ろは向けない。新しい環境で頑張っていくしかないんだなと腹をくくったのだ。

<つづく>